クライマーの先輩の勧めもあり、5月の上旬に開催されていた展示〜inception(1976)〜に行ってきました。
Sex Pistolsのデビュー50周年を期に、セディショナリーズなどの当時のパンクファッションのアーカイブを主にした展示の内容、かなり濃かったです。
ファッションがもたらすエネルギーや、表現の深みを改めて、しみじみと実感。
はてさて、そんな僕の’ファッションはやっぱり良いもんだ〜’のバイブスと期を同じくして、
中国で2026 Woman’s boulder World Cupが開催。
絶対女王のヤンヤ選手を僅差で抑えて、アベゾウ選手が優勝するという劇的な展開で、大いに盛り上がっておりましたね。
内容もさることながら、そんなファッションバイブスな自分的におおっ!と刺さったのが、ヤンヤ選手。
ヤンヤ選手と言えば、白のノースリーブに黒のハーフパンツがお馴染みですが、
今回は一部課題において、珍しく黒のワイドなロングパンツを着用していたのです。
それも平成初期にクライマー達が穿いていたような、ズドンと太めでクロップド丈のやつ。
スポンサーのAdidasのものだったので、メーカー側の意図的な戦略もあったのでしょうか。
どういった背景があって、突如ワイドパンツを穿き始めたのかは分かりませんが、
いつものアスリートライクなヤンヤ選手とは一味違い、ちょっとカルチャー色漂うシックな雰囲気も、これがまた様になっていて格好良かったんです。
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僕は、ファッションには、大きく分けると2つのアプローチがあると思っています。
まず一つは、自分の中で完結するもの。
「大事な人から貰ったものだから、お守りとして身に付けています!」とか、
「着ると見えないんだけど、実はこれ裏地の柄がとんでもなく可愛くて!」とか、
所謂「自己満」と言われる、他者には分からないけど、自分の心もちが左右する部分。
加えて、防寒や速乾性、動きやすさだったりといった、自分の身体を快適に保つ為の機能性も含まれますね。
総じて、
“1人で無人島に行った時に装う基準となるもの”
というとイメージしやすいでしょうか。
もう一つは、他者からの見られ方。
これは、他人が自分のファッションを見た時に、どう思うか、といったところの意識の部分。
不良が短ランを着たり、おばあちゃんに会いに行くから綺麗なシャツを着ようかな、とか、その類。
先ほどの例えで言うと、こちらは無人島で服を選ぶ際には、一切放棄される要素。
いくら筋金入りの不良だって、誰もいない無人島でわざわざ学ランの丈を詰めたりはしないはずです。
誰かが見てくれるから、短い学ラン着るのです。
「自分の中でのこだわり」と「他者からの見られ方」
人々と共存しながら、持ちつ持たれつな社会で生活を送っている以上、
装う上で、この2つのバランス感は、個人的に大切にしている部分です。
ですが、現在のクライミングのコンペシーンにおいては、
トップ選手ともなると、スポンサーなどとの兼ね合いもあったりもするから致し方がないとはいえ、
どうしても、前者「自分(とメーカー)の中でのこだわり / 主に機能性」
のパワーバランスが強い様に感じていました。
その中で、今回のヤンヤがワイドパンツを着用していたのは、自身の意図にせよメーカーの意図だったにせよ、そのような後者「他者からの見られ方 / 格好良いかどうか」を意識した要素が含まれているのを感じて、嬉しかったんです。
そして、こういった形でクライマーズファッションがどんどんと盛り上がっていけば良いな、とも。
(別な競技ではあるのですが、スノーボードの大会X-GAMESで、村瀬心椛選手が革ジャンで滑って表彰台に乗ったというニュースを目にした時は、かなり痺れました。上手に言語化出来ないのですが、正にこういうこと!最高にファッションしてます。)
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ミュージシャンを例に出しても、音楽という本軸の部分を追求する事は勿論ながら、
その作り上げた音楽をどう伝えるか、といった部分でファッションは欠かすことの出来ないツールですよね。
仮にカートコバーンと小林幸子のファッションを入れ替えていたら、
同じサウンドを鳴らしていたとしても、現在の音楽シーンは全く別なものになっていた気がします。
お笑い芸人だってそうです。
小島よしおがスーツを着ていたら…..テツアンドトモが白黒だったら………
きっと話が変わってきてしまうに違いがありません。
表現者とファッションは切っても切れない関係なのです。
クライマーだってそうです。
アスリートであると共に、立派な表現者でもあります。
実際にクライミングを観戦していても、競技的な勝ち負けといった見方もありますが、
その人その人ごとに繰り出される身体の使い方や、課題と向き合う際の表情など、
結果とは別軸で、視覚的に楽しい部分もあると思います。
そして勝敗以上に、意外とそのような完登までの過程の部分が、印象に残ったり、心に響いたり、
「この選手、なんだか格好良くて応援したいな」とか、なったりもするじゃないですか。
そこへさらに、ファッション的な表現をも加われば、
よりその選手のパーソナリティが引き立ちますし、ムーヴから生まれる身体表現がより華やかに見えたりもしますし、
決して悪いことはない気がします。
スポーツの世界ではルールがあるので、それなりの制限が必要なのも理解はしますが、
多くの人から注目を浴びてパフォーマンスをする以上、やはりファッションを楽しまない手はないと思うのです。
ちなみにコンペのクライマーズファッションで、個人的に格好良いと思ったのは、
2023のBJCでの松藤藍夢選手。
アンダーカバー(×P.A.M)のTシャツを着用して、見事に表彰台。
当時19歳だった松藤選手が、90年代のストリート&ファッションシーンを象徴する、
そして非常にパンキッシュなブランドでもあるアンダーカバーを背負って登攀していた姿には、
いちファッション好きとして、テンション爆上がりでした。
ジャパンカップやユースの大会は、まだスポンサーなどの縛りがなく、自前のウェアで出場する選手が大多数ですので、
ファッション的には非常に見応えがり楽しいです。要チェックや!!
もし、革ジャンでコンペに登場した選手がいた際には、一念発起してファンクラブを立ち上げようかと思います。
words&photos 白木 凜太郎
dropkneeの運営者。好きなムーヴは言わずもがな。
現在、渋谷のおんぼろアパートで人生初のシェアハウス生活中。
マイテーマソングはMINMIのシャナナ☆

