窓を開けた。冬のにおいじゃなくなってる。
生き物の、においがする。
薄茶色だった山の景色は、タイでのトロピカル生活を挟んで、
一面黄緑の世界になっている。
わーお
息を吸う。
きもちーい
ボルダーマットの上で朝ごはん。

ちょうちょ。ダンゴムシ。鳥もみんな。
きもちーい
レタスとけちゃっぷだけで
ハンバーガーの気持ちになれるよ
のんびりした生活。いつもの生活。
さあ、登りに行こうか。
最近めちゃ夢中になってる岩がある。
2026/1 月末
出逢っちゃった。
名前は僕岩。

9月に和歌山へ来てから、4ヶ月くらい。
道路から見える気になる岩、航空写真で見える気になる岩は、
ガソリンでお財布がとんでかない範囲でたくさん触った!
いろいろ探すけど、岩は見つかるし見つからない。
ううおおおおおと燃えるもの?
流れるように心地いいもの?
なにかを求めてた。
我々の地図。
空白の部分、探しに行く。
その日。
かいちゃん調べで沢に入った。
いつも希望通りには進まない。
岩はなかなか現れない。降りたいところは滝だったり、不法投棄が道を塞いだり。
進んでいく。

水がきれいだなあ。
寒い。水がちょっと怖い。行こうとしてた道の、逆行ってみた。
ちょっと見てみよっか。
こんな感じで、僕岩を見つけたんだ
いや、見つけてもらったのかも?

その次の日も僕岩へでかけた。
何度も出かけた。
最初は四足歩行。
どうにか足を濡らさず渡る!
だんだん、慎重な二足歩行になった。
たまに踏んだ石が動く。
バランス崩すのがこわい。
動く石も、踏んで、崩れて、それでも進んでみた。
動きの、良い流れを、ちょっとつかめた。
横に線の流れ。
2人でいくつもラインを見出せた。

この岩の、ここ。
かいちゃんは、登った。
私は、左手が、届かなかった。
あと、1,2センチ?届きそうで、届かない。
プロジェクト名「ミーアキャット大脱走」!
タイから帰ってきて、もっと、気持ちがつよくなった。

これ、登りたい。
僕岩に行きたい。
エンジンをかける。
ドッドッドッ。ボッボッ。
オーマイガッ
代車を借りた。
ホンダの軽
c-rag アニキのうたを聴きながら
あたらしいきもちで車がはしる。
窓から風が入る。
久しぶりに僕岩を前にした。
やっぱり。きれいな形。この岩には特別ななにかを感じる。
私にとっての核心。
立ち上がってリップ手前のでっぱりを左手で取るところ。
立ち上がって、
立ち上がって、
希望が見えた。
また
立ち上がって、
急に可能性を感じなくなった。
ここまでやったんだから
無理なんだと。
タイで鍛えた身体はよく動く。
だからこそ。
そこに可能性を見出せなくなった。
すると、これまでトライしていたすべてを捨てて、
新しいものが見えてきた。
全く別の道。
見ようとしてみた。
それが、自分の正解だとおもった。
かいちゃんに、
もう一度 捨てないで。やってみれば。と
言葉をもらった。
…
一度は受け入れなかった。
だけどゆっくり。ゆっくり。
考えてみた。
まだできるんじゃないの?って
半信半疑で、ずっと積み上げて来たムーヴを起こす。
体重を落としたまま
左足の、親指を奥に差し込む。
右手で固めてからだ、持ち上げる。
左手は、ほんの少しかかるあのくぼみに、少しひっかける。
立つ。
右手の保持を、親指に変える。
あ。なんだか近くにホールドがある。
親指一本で、体を押し上げる。
もっと伸びる。
左手の、指先が。
今まで一度も届かなかった。あのでっぱりに 少しかかった。
押して。押して。
左手を、しっかり保持。
ゆっくり右足をあげて、
リップをつかんだ。
嬉しい気持ちだけじゃなかった。
寂しくもあったし、悔しくもあった。
この課題は「いし」にしよう。
いつでも?に向き合いたい。
この石を見つめて。私を見つめて。
目をつむって、選ぶことを放棄したくない。
いしを登ったあと、
僕岩にはもう一つのラインが現れた。
いしのすぐ隣だけど、ムーヴや内容。体験できるものは全く違いそうだ。
リップまでの距離はとても遠い。大ジャンプするかも。
私のプロジェクト。
ミーアキャット大脱走!
また、ゆっくり。
がんばりたいな

words&photos みずほ
2000年生まれ。登るの大好き。
Gekko.Japonicusでわくわく創造中!
やきいも、水浴び、いきもの探し。
ちょこけーき!
instagram : https://www.instagram.com/gekkojaponicusjp/

