あの頃のクライマーは格好良いんだ!#2 / GRAMICCIのカタログから読み解くクライマーのファッション〜BEAMSハウス丸の内 髙橋良太〜

words&photos: dropknee

クライミングという遊びに、未だカウンターカルチャーとしての匂いが漂っていた時代のクライマー達。

その何処となく不良臭い佇まいであったり、簡単には踏み込めないアンダーグラウンドな世界観だったりが、当時を知らない21世紀生まれの僕に格好良く映るのは、ただの懐古趣味だけではない気がするんです……

 

 

そんなクライミング黎明期に漠然とした憧れを抱く気持ちに共感してくれる仲間を増やすための晩酌会。

第一回に引き続き、今回もBEAMSハウス丸の内店の髙橋良太さんにお付き合いいただきます。

 

 

dropknee(以下d) : 今回はかなりファッション寄りだと思うよ。こちらです!

髙橋良太(以下髙) : お!Gramicciだ。

d : 去年リリースした、Gramicciのアーカイブカタログブック。

これが伝説のおじちゃん「Mike Graham」、創業者だよ。

 

 

: なんかGRAMICCIのイメージからすると若いかも。

d : 70年代にストーンマスターズって呼ばれてた時、20歳前後だとして、今70代とかか。

若い時にクライミングに没頭して、それからそのカルチャーでビジネスも始めて成功して、って、めっちゃ格好良いよね。憧れる。

: 洋服に行ったのも良いね。元々は完全にギア系なの?

 

 

d : っぽいね。ポータレッジとかも作ってたみたいだし、服もあくまで登る為って感じだったみたい。

でも、なんか昔の資料とか見てると、Mikeさん格好良いんだよね。何だかんだ言ってファッションも好きだったんじゃないかな。

: そうなんだ。どんな雰囲気か見たいな。

d : それこそこの本に載ってるっしょ。これとか。真ん中がMikeさん。

: なるほどね。格好良いね。

 

 

d : これLIGHTNING BALTのサーフボードじゃん。GERRY LOPEZと繋がりがあるってこと?

: これじゃね、

 

(First Gramicci logo with Lightning Bolts dotting The I’S, An inspiration from Mikes surfing days.)

 

d : うわ、Mikeさんサーフィンもやってたんだ。格好良い〜。

でも、ストーンマスターズのシンボルも稲妻マークだから、なんか色々とややこしいな。

 

 

: この写真とか見ると、GRAMICCIのパンツって格好良いな。ボーダーとの合わせ方もお洒落だね。

d : これは最近のルック。見せ方が本当に上手だよね。

2022年からStephan Wendlerって、

元々CarharttとかStussyやってた人がクリエイティブディレクターに入って、結構雰囲気変わったらしいよ。

 

 

: あ〜、言われてみればめっちゃStussyとかっぽいかも。

(オンラインストアを見て)アパレルとかもめっちゃ格好良いね。着てみたいな、Gramicci。

d : え、着てみてほしい。

:筋トレしようかな、Gramicci着るために。

d : 別にしなくても着れるでしょ(笑)

 

 

d : 良太っちって今Gramicci持ってる?

:まあ、短パンが一本ある。

d : ちなみにそれってなんで買ったの?

: あ〜、マジであれだわ。古着屋で古いロゴのGramicciあるから、買っとくか安いし。みたいな。

古着的価値かもしれない。レア、とかそういう視点で買った。

d : 買った時は、クライミングのブランドってことは知ってたの?

: 一応ね、これで登るんだ〜、くらいの感じ。

イメージで言うと、patagoniaとかとなんか同じ感じ。バギーショーツ買うみたいな。

なんか、「使いやすそうなパンツだな」「古いんだ」「雪無し(タグ)」なんだ、的な。そう言うイメージ。

d : なるほどね。

スケートブランドってさ、例えばSUPREMEとか、スケートやってない人が着るのはダサいみたいな論争あったりするじゃん。

俺、GRAMICCIをクライマーじゃない人が穿くのはダサいみたいなの聞いたことないんだよね、良くも悪くも(笑)

: 笑笑、クライマーでそういうこと言い出す奴がいないんじゃない?

d : それはもう、ストリートとアウトドアのフィールドの違いってことなのかな。

: あんまクライマーの人、気にしなそうだもんね。

 

 

 

: インタビューで久保さんが、言ってるよ。

「ビームスの先輩たちがクライミングの専門店で買ったりしていて——–」って。

d : そういう時に、クライマー側が尖った態度取ってたら変わってたのかもね。

「お前クライミングしてないくせに穿くなよ」みたいな(笑)

そんでGRAMICCI履きたいが為にクライミング始めちゃったりしてさ、格好良い人がそれやってたら後輩とかも、ちょっと真似したくなるじゃん。

: マジであるかもね。

でも、この本見る感じ、そもそもGRAMICCI側が、そういう見られ方に興味が無さそう。

だから、別に買ってくれる人にはみんなありがとうで売るし。

 

 

d : そういうことか。それって一周回ってめちゃ格好良かったりしない?

: 別にGramicci着てる人見て、「うわ〜こいつ寛容だな〜」とは流石にならないだろ。

言いたいことは分かるけど(笑)

d : そっかー、何ならそこまで持っていきたいけどね。

: どっち?寛容で格好良い方向に?

d : そう寛容の方。もう尖るのは諦めよう。個人的にもクライマー的にも好ましくない。

そういうスタイルを取りたい人が、きっといないから(笑)

 

: 「BEAMSのフィルターを通してファッションとして再解釈して提案すれば、日本でも受け入れられるんじゃないかという確信があったんです。——」再解釈すれば、ってなってるけど、例えばSUPREMEをファッションとして再解釈しようって考えないよね。

d : 確かに。SUPREMEは元々ファッションだもんな。

: やっぱあれだよ。そもそもの話だけど、クライミングという行為自体がモテに行くもんじゃないからだよ、絶対。

モテに行ってないから、ファッション美的な考えが生まれないんじゃない。

d : あ〜。

: モテに行ってたら格好良くなるじゃん、ある程度服は。

d :  そうだね。

: でもこれは、ファッションじゃないアイテムをどう着こなすか、的なことを言ってるじゃん。

マリンショップで買ったウェットスーツを半分脱いで、上にブレザー着ちゃお!みたいな。フィン履いちゃお!みたいな。

d : 言い過ぎだろ(笑)

ほら、これ見てよ。「サーファーもスケーターもまた、アティチュードもスタイルもパンクなんだけど、トップクライマーたちはもっとぶっ飛んでる。で、そういう人たちって、すごくかっこよく見えるじゃないですか——」格好良いって言ってるじゃん。

 

 

: いや、そうなんだよ。格好良いんだよ。めっちゃ格好良いんだけど、女子ウケする格好良さじゃないじゃん。

久保さんのいう通り、ぶっ飛びすぎてるし、正直クライマーじゃない人からしたら、岩に張り付いて何やってるかイマイチ分かんないんだよ。

だから今の風潮的には、世間一般の人の憧れの対象になりずらいっていうか。

岩登ってんの見て、女の子が「きゃ〜!格好良い、連絡先交換して下さい!」って絶対なんないじゃん。

d : そう言われてみればそうか。

確かに、クライマーって自分の中のバランス感として、モテるよりも岩への愛が勝ってしまってるのかもしれない。

クライミングが好きすぎると社会的にもう駄目なのか!?

: 笑笑。でもマジでなんかあるよね。凜太郎とか見てると、ちょっと怖いもん。

狂気的な何かがある。

d : やめろよ(笑) 、仮にそれって魅力に変わったりしないわけ?

: 魅力には変わるけど、それってパッと見の外側の魅力には出ずらいよね。人としての内側の魅力とかには出ると思うけど。

ってかそもそもクライマーかどうかが分かりづらかったりする。

d : あ〜なるほどね。クライマー的なファッション、っていうのがあんまり確立されてないしね。

: もっと万人に分かりやすい、こういうノリをやってたら変わるんじゃない?

街中でこういうことやっちゃう、みたいな。

Stussyとかはそれをやってたんでしょ。

 

 

d : ストリートの文化なんだから、そりゃそうじゃん。街でやるだろ。

: つのごの言わずに。クライマーも負けずにモテに行こうぜ。

それを思ってGramicciもクリエイティブディレクターに、Stephanさん呼んだんじゃないの?

d : 確かにそうか。山でカッコつけてんのって限界あんのかな。誰もいないし。

モテたければ、人がいる街で格好付けないと駄目なんだ。

: それ、そうだね。

d : でも街で登るって、本当に一般的に格好良いのか?(笑)

: 格好良い。おー!ってなる。結構見ちゃうし。

d : それこそ、この前Alex Honnoldが台湾の101タワーを命綱なしで登ってたよ。しかもNETFLIXのライブ中継。

: それはやりすぎだよ、、。格好良いというか、普通に怖すぎる。

d : そこまではしなくて良いんだ(笑)

: これ!これ良いじゃん。このくらいで良いのよ。

 

 

d : え〜、でもこれ、クライマー的には楽しくないと思うんだよね。

チャレンジする動機がなさすぎる。

: それもうモテに行ってないじゃん。

一旦そういうのは置いといて、モテに行けよ。

d : じゃあ今度、その辺散策して、街で登ったらモテそうなとこ探しに行く?

: え、それめっちゃ楽しそうじゃん。

それで俺らも結構イケイケな感じのファッションしていけば良いんでしょ?

それでちゃんとカメラとか構えて、撮影して。

d : そうそう。それで警察来たらダッシュで逃げたりして(笑)

: なんか悪そうで格好良い!

d : なんか色々と方向性ズレてる来てる気がするけど、、(笑)

まあモノは試しでやってみましょう!

 

 

引用元 : Gramicci「THE INCOMPLETE ARCHIVE」

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