現在、時刻は午前0時33分。
寝る前に本読むことが最近多いのですが、今日は読んだ本をきっかけに閃きのプチ稲妻が走った気がしたので、
そのお話です。from 布団の中。
布団に入り、読書灯を付け、さてと手に取った「文化人類学のすすめー祖父江孝男著ー」という本。
僕の好きな36.9℃というポッドキャストで、文化人類学者の方のゲスト会が最近続いているということもあり、
古本屋でタイトルを見て何となく買った一冊です。
問題の閃きの稲妻が走ったのは、その中にある「色彩の知覚」という章。
その章には、色彩の名称の付け方が言語や文化ごとに違うことによって、
色彩の知覚にも影響があるのではないか、という観点から行った実験について書かれています。
めっちゃ噛み砕いて説明すると、
我々は色に名前が付いているから、色を見分ける事が出来るのではないか。ということらしいのです。
赤は「赤」という名前があるから理解できて、
青は「青」という名前があるから理解できるのだ。と。
例えば、ネイティブアメリカンのズニ族では、黄色(Yellow)🟡と橙色(Orange)🟠が、一般的に同一の名称で括られていて、
そうすると、ズニ族の人々にその二つの色を見せても、色の判別がどうしてもつかないという実験の結果が出ているのです。
そんなアホな、と思うかもしれません。
黄色と橙色の違いを、小さい頃から当たり前に見分ける習慣のある日本では、ちょっと信じ難い話です。
そんなことでは、みかんの美味しい食べ頃だって見分けれなくなってしまいます。
では、僕が愛用している、このPCケースの色は何色でしょう。

水色と答える人もいれば、薄緑と答える人もいるのではないでしょうか。
一悶着ありそうな色です。
しかし、それはあくまで我々が一般教養として、この色の名前を把握していないからに過ぎないのです。
この色に明確な名前が付いている文化圏で育った人からしてみれば、きっと甚だおかしな話なのでしょう。
このように、確かに言われてみれば、名称のあるなしで、知覚や記憶に違いが出るという説は、
自身の身の回りの事柄に置き換えてみても、納得せざるを得ない場合が多いのではないでしょうか。
そこで僕が思ったのは、それをクライミングにも置き換えることができるのではないかということ。
具体的には、
細かなムーヴ一つ一つに名前を付けて、それを「当たり前」のこととしてインプットすれば、
今まで上手く身体が使えなかったり、再現性が低かったりするムーヴが、より正確さを持って出来るようになるのではないでしょうか。
ピンチ一つ取ってみても、
指の腹で持った方が良い場合もあれば、
ちょっと指を立て気味に持った方が良い場合もありますよね。
ちょっと指を立て気味に持つピンチの方は、通称「カチピンチ」などと呼ばれることもある為、
登っていて落ちそうになっている途中に「そこカチピンチ!」と言われれば、はっと持ち直して修正が効きやすいのではないかと思います。
これは名称が付いていて、その名称と身体の動きが経験として結びついているが故に、パッと身体が反応しやすいということです。
これは、例のように人に指摘されずとも、自分自身で組み立てたムーヴを意識する際にも有効かと思います。
頭の中で、ムーヴと名称が明確にワンセットになっていて、その明確さが精密であればあるほど、
身体への伝達も早く、イメージの再現性も高いはずです。
ではさらに掘り下げて、
カチピンチの中でも人差し指側に力を入れた方が良い場合もあれば、
小指側に力を入れたほうが良い場合もあると思います。
しかしながら、それはあくまで「人差し指側に力を入れた方が良いカチピンチ」と「小指側に力を入れた方が良いカチピンチ」であって、
簡潔な名称らしきものがありません。
「赤!」
と言われたら、赤をパッと浮かべることが出来るし、
「青!」
と言われたら、青をパッと思い浮かべることが出来ますが、
「バナナジュースとトマトジュースを混ぜた色!」
と言われたら、何だかよく分からない気がします。
ですので、仮にピンチにも、
人差し指側のピンチを「田中」とか、
小指側のピンチを「山田」とか、
しっかりと名称を付けることから始め、
名称と、その名付けたムーヴが明確に合致するように、繰り返し練習したらどうでしょうか。
ピンチのみならず、
カチにもランジにもデッドにも、
考えうる限りの全てのムーズを掘り下げて、名付けて、練習したらどうでしょうか。
バナナ&トマトジュースミックスも、それに名前を付けて、毎日1年間飲み続ければ、無意識に色が刷り込まれる(はず)ように、
ムーブも無意識下に刷り込んでおけば良いのです。
そうすれば、今登れなくて苦労している課題も、
「鈴木からの佐藤、そして高橋。足を上条にして、マントルは山本!」
などの意識を持って登れば、
身体がビシバシと動いて、イメージ通り完登出来るのではないでしょうか。
本来であれば、こっそり僕が率先してこの理論を取り入れてトレーニングに励み、
前人未到のV18に到達し、
クライミング界に 大大大革命を起こして、大谷翔平ばりのスターにでもなってやるところなのですが、
いかんせ今から名前を付けて、身体に叩き込ませるのはあまりにも面倒臭いです。
それにきっと、こういうのは語学と一緒で、幼少期から自然と染み込ませるのが大事なのでしょう。
無理に頑張るものではありません。
なんか気付いたら出来ちゃってた、くらいが丁度良いんです。ね、、多分。
だから、もし仮にこれを見てくれた、向上心を持った根気強い誰かが、このアイディアを基にキッズスクールの育成カリキュラムでも作って、
とんでもないクライミングモンスターを爆誕させてほしいと心より願ってます。
こんなことを書いていたら気づけば午前2時30分。
そろそろ夢に片足を突っ込み始めた気がするので、もう寝た方が良さそうです。
明日の朝に目覚めた時、この文章を見返して、がっかりしていないと良いなと思います。
おやすみなさい。
words&photos 白木 凜太郎
dropkneeの運営者。好きなムーヴは言わずもがな。
現在、渋谷のおんぼろアパートで人生初のシェアハウス生活中。
マイテーマソングはMINMIのシャナナ☆

